結婚前の違和感
結婚を決めて、相手のご両親に挨拶へ伺った日のことを、今でもはっきり覚えています。
緊張しながらも
「受け入れてもらえるだろうか」
と小さな期待を胸に、門をくぐりました。ところが、その日の私は、思いがけない言葉を浴びることになったのです。
義母は、私の出身や育ちについて、オブラートに包むことなく口にしました。
「希望の高校を出ていない」
「家が戸建てではない」

ほかにも言われたことはありましたが、頭が真っ白であまり覚えていないけど、そんなふうに私の人柄ではなく、“育ち”という変えられない背景だけで判断されることが、とても悲しく、とても悔しく感じたのを覚えいます。
「自分の存在そのものを否定されたようだ」
――あの瞬間の心の痛みは言葉に尽くせません。
でも、義母の言葉以上に私を深く傷つけたのは、彼の態度でした。
私の気持ちに気づくこともなく
「しかたないよね…」
って空気感。
かばってくれるそぶりもなく、その場面でただ突き放されたように感じたのです。
それでも当時の私は
結婚生活の中で、きっと変わっていく」
「私が我慢すればうまくいく」
と自分の気持ちを押し込めていました。
けれど、今振り返ると、そのときすでに
“私らしさ”を手放していたのかもしれません。
もしかしたら、あの時の違和感が私への最初のサインだった。
そして義両親の反対とこの違和感をきっかけに、結婚話はなかなか進まず、気づけば1年が経過していました。
彼の態度にそろそろ別れを考え始めていた矢先、妊娠がわかり、私たちの結婚生活がスタートすることになるのです。
次回は、揺れ動く心のまま始まった結婚生活について綴ります
